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2024/04/20 (Sat)

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21:00

俺は、いつものバーで一人飲んでいた。

カウンターの一番奥に見慣れない女性が一人。
とてもきれいな人だ。

「多分待ち合わせだろう」とマスターが言ったので、少し残念だったが声を掛けるのはやめた。


しかし、きれいな人だ・・・・


マスターとどうでもいい会話もひと段落した頃、さっちゃんとかよちゃんが酔っ払って登場した。

「お二人さん、ご機嫌だねー。」

ひと際酔っ払っているさちよが、

 「ご機嫌じゃないわよ!今日は付き合ってよ~丁度よかった!ユウヤも呼んどいたから。」

「なら直人も呼ぼうか。」

少し意地悪をした。
すると、

 「・・・・・・・呼ばなくていいよ!直人くんなんか!」

さちよの顔がさらに赤くなった。


「そう、じゃあ止めとくか・・・・・・・・。」

俺は小声でかよちゃんに話掛けた。

「かよちゃん、さっちゃん何かあったの。何か機嫌悪いみたいだけど。」

 「なぜかは分からないけど、朝から機嫌悪いです。私もう帰りたいです・・・・・。」


触らぬ神に祟りなし。
俺も今日はさっさと退散しよ。

するとお店の奥から

 「ご馳走さまです。お幾らですか?」

あの女性だ。
待ち合わせじゃなかったのか!
マスターに騙された~


「1,200円です・・・・・・また寄ってくださいね。」

 「ありがとうございます。また来ますね。では。」

声も綺麗だ・・・
今度会ったら必ず友達になろう。

楽しみが一つ増えた。


「マスター、俺も帰る。ご馳走さん!」

女性二人のブーイングを無視して、そそくさと店を出た。

それにしても綺麗な人だった・・・

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2009/04/01 (Wed)

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朝、さちよの携帯電話が鳴った。

 「もしもし、りこだけど。さっちゃん今いい。」

「どうしたの?りこちゃん。少しなら大丈夫だけど。」

 「私、昨日の夜直人くんと寝ちゃったの。どうしょう・・・・・・・。まずいよね・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・う、う~ん。」


朝いちばんから、なんて重い内容の電話なんだろう。
まずいよねと言われても、なんとも言い様がない。

『お互い大人なのだから』と言えば済む事なのかもしれない。


「大人同士なんだから、まずいっていう事はないと思うよ。直人君だってきっと・・・・・・・・。」

 「そうだよね、しょうがないもんね。さっちゃんがそう言ってくれると安心する。仕事中ごめんね、また電話するね・・・・・じゃあね、ありがとう。」

「じゃあ・・・・・・・・・・。また。」

そうして電話は切れた。


しかし『大人だから』という安易な言葉で終わらせて良かったのか。

いろいろと考えながらでも、不思議と足は勝手に会社へ向かう。

朝の10時、頭もまだすっきりしていない。
仕事の準備もできていない。
朝ご飯も食べれずにイライラしたまま。
そして重い内容の相談。

あの程度の答えしかできないのも無理ないだろう・・・

「今度ちゃんと考えてあげよ!」


会社のオフィスの隣の席のかよから声がかかり、ふとわれに帰った。
ちなみにかよは、私の部下である。

 「さちよさん、何か言いました?」

「ごめん・ごめん、独り言。だめねー、独り言言うようになったら・・・・。」

しかしみんな楽しんでるよなー、私も明日のコンパがんばろ!
心の中でつぶやいた。

「かよちゃん、明日のコンパ何歳位の人達なの。」

 「25歳前後かな、それとさちよさん、コンパ来週ですよ!」

「・・・・そうだっけ!な~んだ・・・・・・かよちゃん、今夜飲みに行くわよ。いいわね!」

 「今夜ですか・・・・・・・・・。」

「だめなの!」

 「い、いえ・・・行きます・・・ご一緒します~」

「よろしく!」


玄さんを、誘おう
・・・・・・・いやユウヤにしよ!


2009/03/26 (Thu)

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夏のはじまりを告げるような、すばらしい日曜の朝。
ここちよい目覚めとともに、今日はうまいハンバーグが食べたくなった。

 「直人でも誘って、食いに行くか。」

独り言を言いながらベットから起き上がった。


 「もしもし直人、朝早くから悪いな。起きてた?」

 「起きてたわけないだろう。まだ日曜の9時だろう・・・頼むよ。」

直人の後ろで女性の声がする。
どうやら一人ではないようだ。
「静かにしてくれ」と小さな声で言っているのが聞こえた。

 「ごめんごめん。一緒に昼飯に行かないかなと思って。無理ぽいね。まあ、ゆっくり楽しんでくれよ。また誘うよ。じゃあ」

意味ありげに電話を切った。


一方直人の部屋では、

 「淳から昼飯行かないかって誘いの電話。さすがに『りこちゃん』と今一緒だから止めておくとは言えないよ。」

  「私は平気よ。直人ととの事バレても。」

 「まあ~そお・・・」

そしてまた、熱い一日が始まった。
俺は直人が誰といるのか想像しながら、携帯電話のアドレスを眺めた。

 「なゆちゃんに飯でもおごってやるか。」

また独り言だ。

 「もしもしなゆちゃん、淳だけど起きてた?」

  「おはようございます。起きてますよ。どうしたんですか?こんな朝から。」

 「いやあ、昼飯一緒にどうかなって思って。日曜日は仕事休みでしょ。」

少しの沈黙の後に

  「す、すいません、お昼はちょっと用事があって・・・夜じゃいけませんか?」

 「そうか、残念だな。分かった、夕方位にまた電話するよ。じゃあね。」

  「せっかく誘ってもらったのに、すいません」


結局今日は、一人で食べに行く事にした。

  「帰りにDVDでも借りよ・・・」

また独り言だ。
今日は朝から、よくしゃべる。

しかしなゆちゃんと出会ってもう3ヶ月も経つというのに、一度も昼間に会ったことがない。
多分他のみんなもそうだろう。

さっきの電話もどこか不自然だった。
何か昼間には会えない理由でもあるのだろうか?

夕方誘って、何気無く聞いてみるとしよう。

  「さて、シャワーでもあびるか。」

これで今日最後の独り言にしよう。


2009/03/18 (Wed)

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彼女は、次のライブもその次のライブも来てくれた。
その頃には打ち上げにも自然と参加する仲間となっていた。

言葉は少ないが音楽の事になると、熱い気持ちのこもった言葉で俺達を感心させる。俺達にとって彼女の存在は、いつの間にか大きなものになっていた。

数日後…

 「なゆちゃん、俺達の練習見にきなよ。」

バーカウンターの隣に居合わせたユウヤが言った。
俺もその言葉には賛同した。

しかしなぜか彼女は力なく言った。

  「見たいな…でも多分いけそうにないです。
  「お昼位ですよね練習…お昼は仕事で出れないんです…でも行きたいな~」

彼女は少し考えた後、

  「やっぱり無理です。ありがとう、誘ってくれて。」

 「そうか、仕事じゃ仕方がないな。時間が取れたら見にきなよ。」

ユウヤは少し残念そうだ。

それからもライブの度に彼女は来てくれた。
俺達と打ち上げまで参加し、いつも一人でタクシーで帰る。

彼女は岐阜市と大垣市の中間辺りに住んでいるらしい。
はっきりとした場所は言わなかったが、俺達もそれ以上詮索するつもりもなかった。

まだまだ彼女について、知らないことがたくさんあるようだ。

俺は、少し彼女に興味を覚えた。
彼女には、どんな過去があるのだろう?

ある晩、俺とユウヤはいつものマスターの店に飲みに行った。
さっちゃん・トモコ・なゆちゃんが3人でワインを飲みながら話していた。

 「オウ、みんな楽しんでるね。」

  「ネエ、直人は一緒じゃないの?」

トモコが尋ねた。
ユウヤが少し茶化して言う。

 「ちがうよ、なんなら呼ぼうか?」

トモコは少し照れた顔で、

  「別にいいよ!」

俺とさっちゃんは目が合い、笑いをこらえた。
そしてその日も長い夜は続いた。


2009/03/11 (Wed)

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今日のライブで演奏する3バンドの内、俺達はラストの出場だった。

会場の客の入りも、40~50人てとこだろうか。
まあまあってところだ。

 「今日は、楽しめそうだ!」

直人が言った。

それはいつもより女性客が多いからだろう。
直人は男性客ばかりだと、ただひたすらたんたんと唄う。
まあ、気持ちはわかるが・・・・・・・・。


2つ目のバンドのアンコールの曲が流れ始めた。

 「そろそろ準備でも始めるか。」

玄さんが言った。
俺達は、すでに準備を終えていた。

かなりテンションの高いライブだ!
直人の声もいつもより大きく響いている。さすがだ!
 

ライブを終え、客席の仲間に挨拶に行く。

途中カウンターでビールを頼もうとした時、誰かの視線を感じた。

背の小さい女性が俺達を少し離れたところから見ていた。
何処かで会ったような・・・

 「直人、あの子・・・」

  「もしかしたら、この間助けた子じゃない?」

 「きっとそうだ!」

直人が、声をかけに行った。

 「君この前の子だよね。」

彼女は、小さくうなずいた。

 「よくライブに来るの?」

  「探して来ました。」

 「俺達の事、よく分かったよね。見に来てくれてありがとう。」

  「とても楽しかったです!」

彼女の嬉しそうな笑顔が、俺達にはとても心地よく感じられた。

 「よかったら来月もここでライブやるから見に来てよ。」
 「そういえば、名前なんていうの?」

  「なゆ・・・なゆみです。」

 「そうか、なゆちゃんか。よろしくね。」

直人がなゆちゃんに俺達を紹介しはじめたが、すでにメンバーを知っているようだった。


直人は、女性に優しく自然だ。
俺も少しは見習わなければ・・・

 「直人君、女性には本当に優しいんだから・・・」

嫉妬気味の声で、バンドの飲み仲間の朋子が言った。

そして俺は、同じく飲み仲間のさっちゃんと目が合い、お互い笑いをこらえた。

俺達は、朋子とさっちゃんに彼女を紹介した。
なにかと面倒見のよい二人だ、なかよくやってくれるだろうと・・・

夜はまだ続く・・・


2009/03/04 (Wed)
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