今日のライブで演奏する3バンドの内、俺達はラストの出場だった。
会場の客の入りも、40~50人てとこだろうか。
まあまあってところだ。
「今日は、楽しめそうだ!」
直人が言った。
それはいつもより女性客が多いからだろう。
直人は男性客ばかりだと、ただひたすらたんたんと唄う。
まあ、気持ちはわかるが・・・・・・・・。
2つ目のバンドのアンコールの曲が流れ始めた。
「そろそろ準備でも始めるか。」
玄さんが言った。
俺達は、すでに準備を終えていた。
かなりテンションの高いライブだ!
直人の声もいつもより大きく響いている。さすがだ!
ライブを終え、客席の仲間に挨拶に行く。
途中カウンターでビールを頼もうとした時、誰かの視線を感じた。
背の小さい女性が俺達を少し離れたところから見ていた。
何処かで会ったような・・・
「直人、あの子・・・」
「もしかしたら、この間助けた子じゃない?」
「きっとそうだ!」
直人が、声をかけに行った。
「君この前の子だよね。」
彼女は、小さくうなずいた。
「よくライブに来るの?」
「探して来ました。」
「俺達の事、よく分かったよね。見に来てくれてありがとう。」
「とても楽しかったです!」
彼女の嬉しそうな笑顔が、俺達にはとても心地よく感じられた。
「よかったら来月もここでライブやるから見に来てよ。」
「そういえば、名前なんていうの?」
「なゆ・・・なゆみです。」
「そうか、なゆちゃんか。よろしくね。」
直人がなゆちゃんに俺達を紹介しはじめたが、すでにメンバーを知っているようだった。
直人は、女性に優しく自然だ。
俺も少しは見習わなければ・・・
「直人君、女性には本当に優しいんだから・・・」
嫉妬気味の声で、バンドの飲み仲間の朋子が言った。
そして俺は、同じく飲み仲間のさっちゃんと目が合い、お互い笑いをこらえた。
俺達は、朋子とさっちゃんに彼女を紹介した。
なにかと面倒見のよい二人だ、なかよくやってくれるだろうと・・・
夜はまだ続く・・・