俺は、いつものバーで一人飲んでいた。
カウンターの一番奥に見慣れない女性が一人。
とてもきれいな人だ。
「多分待ち合わせだろう」とマスターが言ったので、少し残念だったが声を掛けるのはやめた。
しかし、きれいな人だ・・・・
マスターとどうでもいい会話もひと段落した頃、さっちゃんとかよちゃんが酔っ払って登場した。
「お二人さん、ご機嫌だねー。」
ひと際酔っ払っているさちよが、
「ご機嫌じゃないわよ!今日は付き合ってよ~丁度よかった!ユウヤも呼んどいたから。」
「なら直人も呼ぼうか。」
少し意地悪をした。
すると、
「・・・・・・・呼ばなくていいよ!直人くんなんか!」
さちよの顔がさらに赤くなった。
「そう、じゃあ止めとくか・・・・・・・・。」
俺は小声でかよちゃんに話掛けた。
「かよちゃん、さっちゃん何かあったの。何か機嫌悪いみたいだけど。」
「なぜかは分からないけど、朝から機嫌悪いです。私もう帰りたいです・・・・・。」
触らぬ神に祟りなし。
俺も今日はさっさと退散しよ。
するとお店の奥から
「ご馳走さまです。お幾らですか?」
あの女性だ。
待ち合わせじゃなかったのか!
マスターに騙された~
「1,200円です・・・・・・また寄ってくださいね。」
「ありがとうございます。また来ますね。では。」
声も綺麗だ・・・
今度会ったら必ず友達になろう。
楽しみが一つ増えた。
「マスター、俺も帰る。ご馳走さん!」
女性二人のブーイングを無視して、そそくさと店を出た。
それにしても綺麗な人だった・・・