夏のはじまりを告げるような、すばらしい日曜の朝。
ここちよい目覚めとともに、今日はうまいハンバーグが食べたくなった。
「直人でも誘って、食いに行くか。」
独り言を言いながらベットから起き上がった。
「もしもし直人、朝早くから悪いな。起きてた?」
「起きてたわけないだろう。まだ日曜の9時だろう・・・頼むよ。」
直人の後ろで女性の声がする。
どうやら一人ではないようだ。
「静かにしてくれ」と小さな声で言っているのが聞こえた。
「ごめんごめん。一緒に昼飯に行かないかなと思って。無理ぽいね。まあ、ゆっくり楽しんでくれよ。また誘うよ。じゃあ」
意味ありげに電話を切った。
一方直人の部屋では、
「淳から昼飯行かないかって誘いの電話。さすがに『りこちゃん』と今一緒だから止めておくとは言えないよ。」
「私は平気よ。直人ととの事バレても。」
「まあ~そお・・・」
そしてまた、熱い一日が始まった。
俺は直人が誰といるのか想像しながら、携帯電話のアドレスを眺めた。
「なゆちゃんに飯でもおごってやるか。」
また独り言だ。
「もしもしなゆちゃん、淳だけど起きてた?」
「おはようございます。起きてますよ。どうしたんですか?こんな朝から。」
「いやあ、昼飯一緒にどうかなって思って。日曜日は仕事休みでしょ。」
少しの沈黙の後に
「す、すいません、お昼はちょっと用事があって・・・夜じゃいけませんか?」
「そうか、残念だな。分かった、夕方位にまた電話するよ。じゃあね。」
「せっかく誘ってもらったのに、すいません」
結局今日は、一人で食べに行く事にした。
「帰りにDVDでも借りよ・・・」
また独り言だ。
今日は朝から、よくしゃべる。
しかしなゆちゃんと出会ってもう3ヶ月も経つというのに、一度も昼間に会ったことがない。
多分他のみんなもそうだろう。
さっきの電話もどこか不自然だった。
何か昼間には会えない理由でもあるのだろうか?
夕方誘って、何気無く聞いてみるとしよう。
「さて、シャワーでもあびるか。」
これで今日最後の独り言にしよう。