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2024/11/27 (Wed)
 「やめようよ、このままだとすぐに捕まるよ。自主して下さい。もう私は、おりる。」

 「いまさら遅いよ、いまひいても何も変わらないよ。秋元さんからCD-ROM預かってるんじゃないの、ともちゃん。とりあえず持ってきて。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ともちゃんが、検死解剖されているさなかに、秋元さんの葬儀が行われた。

葬儀の会場では、誰もが下を向いたまま小さな声で秋元さんの死を悔んだ。
そして互いに仲間を疑いの目で見ているのが、あからさまに伝わってきた。

 「この中に必ず犯人がいる!」

何人もの警察がこの葬儀を監視している。
もしかしたらもう容疑者の目星がついているのだろうか。

ふとあの時の電話の声がよぎった。

 「そうだ、あの声ともちゃんだ。間違いない・・・」

秋元さんとともちゃんは、共通する何かをにぎっていたに違いない。
犯人は、同一人物だ。

僕は急いで、平山さん エヌ藤さん 原田ちゃんを集め、その内容を伝えた。

平山さんが慌てて近くに居る警察官にかけよった。
たぶん元同僚なのだろう。
親しげに話し始め警官がなにやら平山さんの耳元で話し始めた。
きっとなんらかの情報を聞き出したのだろうと僕は確信した。

20分ほどたっただろうか、平山さんが小走りで戻ってきた。

 「たけちゃんの話は伝えた。それと面白い話を聞いたよ。」

 「秋元君の死因は青酸カリ中毒。それと彼は、何度となくタイやプーケットに電話を掛けているみたい。ただ警察の方も、なぜ頻繁に掛けていたかはつかんでいないみたいだ。」

そういえば、秋元さん毎年プーケットに行っていた。
たしか向こうにお兄さんが住んでいるからと言っていたのを思い出した。

普通の旅行に行くだけなら、何度も何度も電話を掛ける必要はない。
きっと他になにかある、僕達ならきっと見つけられるような気がした。


葬儀は終わり、僕達4人は会場からかなり離れた喫茶店に入った。
平山さんはすかさずゴーヤジュースを頼んだがなかった。どの店でもある飲み物ではない。
しぶしぶトマトジュースに変わった。

エヌ藤さんが話し始めた。

 「俺、あっちゃんとげんゆうとさっちゃんから探ってみるよ。」

その自信に溢れた声に、みょうな責任感とかすかな探偵気分に心がわいた。


そして僕達は動き始めた。
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2008/09/10 (Wed)

警察の捜査は、あの夜のメンバーから始まった。

敦さん 玄有さん さっちゃん ともちゃんの順に行われた。
当然岡谷にも呼び出しはあったが、秋元さんが殺された時、彼も殺されかけていたので間違いなく容疑者から外されているので、どちらでもいいのだろう。

それから二日経ち、秋元さんの死因が判明した。

毒殺である。
どのような薬物をつかったのかは、僕達には分からない。

しかし、あらゆる事を知らなくてはいけない。
僕達の中の誰かに隠された事実があるに違いないのだから・・・

僕は、ふと思い出した。

焼肉店の店長の平山さんは、4年前まで岐阜県警の刑事だった。
なぜ刑事を辞めて料理人になったのかは僕は知らない。
ただ間違いなく元刑事だ。

 「とにかく電話してみよう、きっと力に」なってくれる」
そう思った。

 「もしもし、平山さん。今いいですか。」

 「どうした、たけちゃん。」

 「相談あるんですが、今から会えませんか。」

 「いいよ、4時までに店にいけばいいから。」

 「じゃあ、30分後にエルレで。」

 「分かった、行くよ。」


エルレのママである直ちゃんが、僕が店に入るなり秋元さんの事についてあれやこれや聞いてきた。
まだ詳しい事は何も分からないことを伝え、アイスコーヒーを頼んで平山さんを待った。

それから15分して平山さんが到着した。

 「ごめんね、たけちゃん。待たせたね。」

 「いいえ、大丈夫です。」

 「直ちゃん、ゴウヤジュース。」

平山さんは、いつもゴウヤジュースである。

 「秋元くんの事で相談だろ、多分俺が元刑事だから・・・・・・。」

さすが、察しがいい。
僕は、今でも刑事だったころの仲間と付き合いがあるのではないかと思い、平山さんに事件について警察が分かっていることを探ってもらえないかと、お願いするつもりでいた。

 「平山さん、お願いがあります。事件のことを・・・」

話の途中で平山さんが、言った。

 「出来る限り俺が、警察から情報を仕入れて来る。まかせておいてくれよ。まだあっちには沢山仲間がいるから。」

 「ありがとうごさいます。よろしくお願いします。」

平山さんの言葉によって、僕たちは本格的に動きはじめることになった。


とりあえず、今のところの仲間は、平山さん エヌ藤さん 原田ちゃん。
そんなとこだ。

そんな矢先、またしても悲しい事件が起こった。


ともちゃんが、死んだ・・・・・・・・・ 


2008/09/07 (Sun)

結局僕は、その日一睡もできないまま、朝を迎えた。

やはり落ち着かない・・・
シャワーをあび、熱いコーヒーを飲む。

そして何処に行くあてもなく、車に乗り込む。


15分ほど走っていると、身に覚えのある車とすれ違った。
エヌ藤さんだ!

すぐさま電話を掛けた。

 「もしもしエヌ藤さん、おはようございます、今から仕事ですか?」

 「仕事する気分になれないから、休んだ。たけ、コーヒーでも飲みに行くか?今何処・・・」

 「今、ちょうどエヌ藤さんの車とすれちがったとこですよ。岐南町のコメダでどうですか。」

 「分かった、向かうよ。」


エヌ藤とは、もちろんあだ名である。
本名は、たぶん内藤とでも言うのであろう、僕はあまり気にしてなかった。

エヌ藤さんは、秋元さんの死について、最後の夜の事について、ぼくに細かく問い詰めてきた。

僕は、分かる範囲の事をエヌ藤さんに話し、なんとなく腑に落ちないいくつかの出来事についても話してみた。

  1. なぜ敦さんは、突然バンドの練習日をあの日にしたのか?
  2. なぜ玄有さんは、練習が終わった後、関係のない秋元さんを食事に呼んだのか?
  3. なぜさっちゃんとともちゃんは僕達の居場所が分かったのか?
  4. なぜ久実ちゃんの車があの場所に止まっていたのか?

あっと言う間に2時間ほど経った。

エヌ藤さんが言った。

 「俺たちで、犯人見つけようぜ!」

何を言っているのだろう。
まだ警察は、犯人について何の情報もつかんでいないようだし、何も発表もされていない。

エヌ藤さんは、普通の生地の営業マンで、僕はただのバーテンダーである。
探偵の真似事など、到底できっこない。
ましてや、仲間に犯人がいるかもしれないというのに・・・

心の中でそうつぶやいた。

しかしエヌ藤さんの目は本気だった。
まるで名探偵コナンが犯人を追い詰めるときのような・・・

そういえば、エヌ藤さんと秋元さんの関係だが、小学校、中学校と同じ学校の同級生で、今でも仲のいい仲間である。

 「エヌ藤さん、今僕達が熱くなってもどうしようもないと思います。たぶん2、3日もしたら警察から何か発表があると思います、それを待ちましょう。」

エヌ藤さんは、小さくうなずいた。


そういえば、あの朝秋元さんの携帯から僕に電話してきたのは、誰だったんだろう?

まちがいなく久実ちゃんの声ではなかった。
しかしどこかで聞き覚えのある声だった。
早く思い出さなければ・・・・・・


それから1時間後、久実ちゃんから電話があった。
「家に帰りました。」と・・・・・
 


2008/09/05 (Fri)
 「そういえば、岡谷がまだきていない。いち早く来そうなやつなのに・・・」

と思った矢先、ナミさんから電話があった。
ナミさんとは、岡谷の先輩でバンド仲間である。

 「たけちゃん、ナミだけど。岡谷が刺されて病院に運ばれた。」

 「え!」

 「命には、別状ないみたいだけど・・・」

よかった。
たしかに岡谷は、刺されたぐらいで死ぬような肉体ではない。
どうせ奴のことだ、女性関係のもつれかなにかだろう。
僕は、無意識のまま思った。

 「ナミさん、そんなに心配しなくても岡谷はきっと大丈夫ですよ。不死身ですから。」

 「それよりも大変な事がおこりました。実は秋元さんが何者かに殺されました。」

・・・・・・・・・・

30分後、ナミさんも店に駆けつけた。


次の日、警察からの発表があった。
岡谷は、僕の予想通り女性に5箇所刺された。
全治2週間の入院。

さすが岡谷!直りもモンスター級だ!


午前4時
今、店には僕以外だれもいない。

夜が明ければ、仲間への取調べが始まる。
そして誰が犯人か暴かれいくのだろう。

いろいろなものが、壊れていく音が身体全体に響きわたる。

 「とにかく今日は、もう寝よう。今は何も考えたくない・・・・・・・・・・・・」
2008/09/05 (Fri)
・・・・・・・・・

どれ位たっただろう、僕と久実ちゃんは立ちつくしていた。

突然久実ちゃんが、叫んだ。

 「私じゃない!」
 「たけさん、私じゃないよ!私が店に来た時には、秋元さん死んでたの!」

そんなことは分かっている。
久実ちゃんが、秋元さんを殺す訳がない。・・・・・・絶対に。

 「警察には、連絡した?」

久実ちゃんに尋ねた。
振るえながら、首を横に振った。

警察に連絡して、10分もしないうちにたくさんの警官がストロベリーズにやって来た。
僕と久実ちゃんは、そのまま警察に連れて行かれ、何時間もあれこれ質問された。

僕が警察を出たのが夕方の4時くらいだ。
久実ちゃんは、まだいろいろ聞かれいるのだろう・・・

出てくる雰囲気はなさそうだ。
僕の頭は混乱していた。

そんな矢先に携帯電話がなった。
登録されていない番号だ。

話せる気力など持ち合わせてはいないが、なぜだかなんでもいいから人と話をした方がいいような気がした。

 「もしもし竹さん、原田ですけど番号変わったので登録しといて下さい。もしもし、竹さん聞いてます?どうしたんです、何かあったんですか。」

 「原田ちゃん・・・・・・・・・・秋元さん、死んじゃった・・・・・・・・多分、誰かに殺されたんだと思う。」

 「まずいでしょう、そうゆう冗談は。竹さん、笑えないっすよ。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当なんだよ。」

 「竹さん、今どこですか、今からそこに向かいますから待ってて下さい。」

僕が分かっている全てのことを、原田ちゃんに話した。

頭の回らない僕の代わりに彼は、やらなくてはいけないある程度の事をやってくれた。
お陰で、仲間や秋元さんに関係のある方に、秋元さんの死がスムーズに伝わった。

 「原田ちゃん、俺達の仲間に秋元さん殺したやついるのかな・・・。」

 「考えたくないですけど・・・・・・・・もしかすると・・・・・・」


その夜、自然に仲の良かった仲間達が僕の店に集まった。
この中に必ず犯人がいる、そう僕は確信した。
そういえば、久実ちゃんはまだ警察に居るのだろうか・・・・・・・・・・・・・
2008/09/03 (Wed)
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