「やめようよ、このままだとすぐに捕まるよ。自主して下さい。もう私は、おりる。」
「いまさら遅いよ、いまひいても何も変わらないよ。秋元さんからCD-ROM預かってるんじゃないの、ともちゃん。とりあえず持ってきて。」
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ともちゃんが、検死解剖されているさなかに、秋元さんの葬儀が行われた。
葬儀の会場では、誰もが下を向いたまま小さな声で秋元さんの死を悔んだ。
そして互いに仲間を疑いの目で見ているのが、あからさまに伝わってきた。
「この中に必ず犯人がいる!」
何人もの警察がこの葬儀を監視している。
もしかしたらもう容疑者の目星がついているのだろうか。
ふとあの時の電話の声がよぎった。
「そうだ、あの声ともちゃんだ。間違いない・・・」
秋元さんとともちゃんは、共通する何かをにぎっていたに違いない。
犯人は、同一人物だ。
僕は急いで、平山さん エヌ藤さん 原田ちゃんを集め、その内容を伝えた。
平山さんが慌てて近くに居る警察官にかけよった。
たぶん元同僚なのだろう。
親しげに話し始め警官がなにやら平山さんの耳元で話し始めた。
きっとなんらかの情報を聞き出したのだろうと僕は確信した。
20分ほどたっただろうか、平山さんが小走りで戻ってきた。
「たけちゃんの話は伝えた。それと面白い話を聞いたよ。」
「秋元君の死因は青酸カリ中毒。それと彼は、何度となくタイやプーケットに電話を掛けているみたい。ただ警察の方も、なぜ頻繁に掛けていたかはつかんでいないみたいだ。」
そういえば、秋元さん毎年プーケットに行っていた。
たしか向こうにお兄さんが住んでいるからと言っていたのを思い出した。
普通の旅行に行くだけなら、何度も何度も電話を掛ける必要はない。
きっと他になにかある、僕達ならきっと見つけられるような気がした。
葬儀は終わり、僕達4人は会場からかなり離れた喫茶店に入った。
平山さんはすかさずゴーヤジュースを頼んだがなかった。どの店でもある飲み物ではない。
しぶしぶトマトジュースに変わった。
エヌ藤さんが話し始めた。
「俺、あっちゃんとげんゆうとさっちゃんから探ってみるよ。」
その自信に溢れた声に、みょうな責任感とかすかな探偵気分に心がわいた。
そして僕達は動き始めた。
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2008/09/10 (Wed)