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僕と岡谷は、盛り上がるみんなを横目に、その場を後にすることにした。
「じゃあ、復活ライブがんばろうぜ!気を付けて帰れよ!」
僕は、岡谷に声をかけ別れた。
蒸し暑い街中を歩き始めたとき、ふと見覚えのある車が僕の目に映った。
ストロベリーズのすぐ脇にある駐車場に、久実ちゃんの車が止まっている。
なんとなく気になり、近くまでいってみたがやはりいるはずはなかった。
僕は、また歩き始めた。
0:30・・・・・
一方岡谷は、駐車場にたどり着いた。
小柄な女性が、目に入る。
いやな予感と同時に、女性が誰なのかすぐにわかった。
「こんな夜中に、どおしたの。」
岡谷が聞くと女性が答えた。
「どおして連絡くれない、私何回もメールした。」
「私の事、嫌いか。私、岡谷の事、好き。」
「毎日、連絡待ってた。どおしてくれない。」
昼間見る彼女とは、まる別人のようだと岡谷は思った。
「とりあえず家の中で話そう。」
こんな所を、近所の人に見られたら非常にめんどくさいと思い、とっさに口ばしってしまった。
彼の人生は、この一言によって、大きく狂わされる事になるとは、まるで思いもしていなかっただろう。
アルコールと言葉の威圧によって、岡谷の頭は、今にもはじけそうな状態まで追い詰められていた。
何を言ってもまともに反応できない彼女に、限界を感じてしまったその瞬間、不覚にも彼女の胸ぐらを掴んで思ってもいない罵声を浴びせてしまった・・・
謝るまでもなく岡谷の胸元から真っ赤な血が、流れはじめた。
幾度となく彼女の悲鳴と共に岡谷は、床に崩れ落ちた。
この瞬間、僕達の復活ライブは、永久に行われることはなくなった。
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