ゆかさんは、俺になゆちゃんの病気について話し始めた。
「なゆの体に変化が起こったのは、中学2年の夏の初め頃です。」
「体育の時間に突然倒れ、病院に運ばれ入院しました。」
「幸い2週間で退院できたのですが、それ以来学校には行けなくなってしまったんです。」
「でもなゆちゃん、いつも元気そうに見えますけど、もう直ってるんですよね?」
「いえ、なゆの病気と言うのは、太陽の紫外線に長時間あたっていると呼吸困難に陥って、最悪の場合死亡してしまうという病気なんです。」
「今の医学ではまだほとんど解明されていない難病なんだそうです。」
「だからなゆは、みなさんのお昼のお誘いはお断りしていたのです。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
言葉が出てこない。
「でも、夜はある程度気をつけていれば、普通の人と変わりない生活は送れるんです。」
「なのでこれからも今まで通り、なゆと仲良くしてあげてください。」
「・・・・は はい。もちろんです!」
俺は、すごく心が切なくなった。
マスターは、黙ったままグラスを磨いている。
もうとっくに綺麗になっているグラスを・・・
何度も・・・何度も。